浅見 幸佑
一般社団法人ビーラインドプロジェクト 代表理事
浅見 幸佑
Kousuke Asami
経歴
一般社団法人ビーラインドプロジェクト代表理事。大学一年次には「リアル脱出ゲーム」のディレクターのもとで個人インターンを経験。その後、教育系の会社でのインターン時代の仲間らと「見ても見なくても見えなくても楽しめるもの」を増やすことを目的とした団体「ビーラインドプロジェクト」を立ち上げ、第一弾として開発したボードゲーム「グラマ」は2000 人以上の方々に体験していただき、「GOODDESIGN NEWHOPE AWARD 2022」を受賞した。
実績
三井化学株式会社、株式会社コンセント、Panasonic等
1. 現在の仕事や活動について教えていただけますか?
浅見幸佑さん(以下、浅見さん): 現在、私は一般社団法人ビーラインドプロジェクトの代表理事として活動しています。また、立教大学の4年生として、文学を中心に学んでおり、哲学や古今和歌集など文学作品に関する授業も受けています。
そして、資格障害のある方々とない方々が共に楽しめる社会づくりを目指し、様々なプロジェクトを展開しています。
三浦輝さん(以下、三浦さん): 私は早稲田大学の国際教養学部に所属し、特に日本と中国の関係に関する研究を行っています。社会的な課題にも関心を持ち、ビーラインプロジェクトの副代表としても活動しています。
2. 今回開発したプログラムについて教えていただけますか?
浅見さん: ビーラインドプロジェクトでは、「見ても見なくても見えなくても楽しめる、増やして一緒にワクワクする世界へ」という理念を掲げています。この理念に基づいて、資格障害のある人とない人が一緒に楽しむ瞬間を増やすことを目指し、3つの事業を展開しています。
一つ目が「プロダクト開発・販売事業」として楽しめるものを作ること。2つ目が「イベント事業」として、一緒に楽しめる場を提供すること。3つ目が「研修事業」として人を育てることです。
これらを通じて、より多くの人々に「楽しむ瞬間」を提供しています。
3. 「グラマ」を開発したきっかけについて教えていただけますか?
三浦さん: 私たちが開発した「グラマ」は、視覚障害のある子供とない子供が同じルールで一緒に楽しめるボードゲームです。過去に、私たち自身が鬼ごっこやテレビゲームを通じて仲良くなった経験から、「視覚障害のある子供もない子供も一緒に遊べるものを作ろう」と考え、このゲームが誕生しました。これにより、お互いの理解が進み、資格障害のある人々の社会参加が促進されると考えています。
4. 「グラマ」を通じて、目指すことや解決したいことは何ですか?
浅見さん: このゲームは、障害の有無に関わらず、誰もが一緒に楽しめる瞬間を増やすことを目的に作成しました。ゲームを通じて、違いを感じながらも共に楽しむことができ、相互理解が進むことを目指しています。イベントなどで3000人以上の方々に提供させていただいた経験から、視覚障害のある人とない人がより積極的に関わり、お互いを理解し合い、一緒に楽しむ場を増やすことです。特に、障害者の方々が社会に参加し、共に楽しむ場を増やすことが重要だと考えています。
5. ボードゲーム「グラマ」の特徴について教えてください。
三浦さん: 「グラマ」の特徴は3つあります。一つ目が「同じルールで一緒に楽しむ」ことです。 資格障害のある人もない人も、手の感覚やコミュニケーションを通じて楽しむことができます。2つ目が「協力型ゲーム」であること。このゲームには勝ち負けがなく、4人で協力して成功を目指します。3つ目が「コミュニケーションを重視」すること。 勝って楽しい、負けて悔しいということではなく、遊んだ人同士が互いのことをよく知り、コミュニケーションを深めることができるゲームです。
6. ボードゲーム「グラマ」の研修のこだわりを教えてください。
浅見さん: 私たちの研修は、一般的なダイバーシティや障害理解の研修とは異なり、楽しく体感しながら学べることに重点を置いています。研修では、資格障害の当事者をスタッフとして迎え、一緒にゲームを楽しみながら、障害理解やダイバーシティを深めます。ゲームという遊びを通じて、視覚障害に関する理解や意識が自然に高まる体験を提供しています。
7. 起業とボードゲーム「グラマ」の開発のきっかけを教えてください。
浅見さん: 「視覚障害のある人とない人が一緒に楽しめる瞬間を増やす」という目的でスタートしました。プロジェクトのきっかけは、「一緒に楽しむものがまだ少ない」という認識から始まりました。私たち自身も、視覚障害のある人々と一緒に遊ぶ経験がほとんどなかったことに気付き、もっと関係を持ちたいと思い「一緒に楽しめるものを作ろう」と決意しました。
最初は半年間のプロジェクトとしてスタートし、クラウドファンディングを通じて資金を集め、全国でイベントを開催しました。その結果、多くのご縁が生まれましたが、視覚障害のある方々が直面する多くの課題を目の当たりにし、一年後、法人化して活動しています。
8. 研修を受けた人の反応はどうですか?
浅見さん: 視覚障害のない方々からは、「視覚障害のある人もこんなに笑うんだ!」という反応を多くいただきました。普段、駅などで見かける視覚障害のある方々をただ見ているだけでは理解できなかったことが、実際に一緒に遊ぶことでお互いの理解が深まります。
三浦さん: 視覚障害のある方々からは、「同じルールで楽しむことができる」という新たな体験に喜びの声をいただいています。特に、目が見える人とゲームを一緒に遊べないルールが多いですが、このゲームではすべての参加者が同じルールで楽しむことができます。この点は特に新しい体験を提供できていると思います。
9. 企業がこの研修を導入する理由を教えてください。
浅見さん: 企業で研修を実施する理由はさまざまですが、例えば、事業部の懇親会やチームビルディングの一環として、普段とは違うコンテンツで楽しみたいという要望があります。障害者理解を深めたいという人事部門のニーズもあり、障害者雇用を担当している方々からの要望も受けて研修を実施しています。
三浦さん: インクルーシブデザインワークショップでは、テストプレイやヒアリングを活かし、ボードゲーム制作をテーマにインクルーシブデザインの理解を深めてもらっています。例えば、教室であんまり話したことのないクラスメイト同士が一緒に遊んだことにより、休み時間に一緒に遊んで仲良くなれるボード ゲームを作ろうという目的意識をもったゲームを開発しました。1日目にゲームの内容をインプットし、2日目にゲーム制作を通じてアウトプットしていただいたこともあります。2、3時間の短い時間で研修することも可能です。
10. 最後に、このプログラムを通じて伝えたいメッセージは何ですか?
浅見さん・三浦さん: 私たちは、障害のある人とない人が一緒に楽しめる瞬間を増やしていくことに重点を置きながら事業を展開しています。「グラマ」は、資格障害のある人もない人も共に楽しむことができるゲームです。遊びながらお互いを理解し、共に楽しむことができる瞬間を提供します。違いを楽しみながら、学び、新しい社会を一緒に作り上げていきましょう。