長廣 遥
Logista株式会社 共同代表COO
長廣 遥
Yo Nagahiro
東京都中野区出身。1976年9月23日生まれのてんびん座。2児の父。
東京工業大学 大学院環境理工学創造専攻を修了後、「お金が回る仕組み」を学ぶため2002年に(株)リクルートに入社。東京、福岡、大分と年々南下し、ホットペッパー、リクナビなど4メディアの営業・マネジメント・新規事業立ち上げに携わる中、農業を取り巻く社会問題に着眼し2009年に退職。企業組合 村ネットワーク、大分県立農業大学校の学びを経て、地域農業のグランドデザインを模索。ヘルニアで倒れ、身体を使う仕事を断念したことを機に、2010年より福岡に拠点のあるイデアパートナーズ(株)に合流。持続可能な地域づくりに向けて「人が育ちお金が回る仕組み」を軸に、九州エリアの地域活性コンサルティングに5年間従事。
先祖である安田財閥の祖・安田善次郎の言葉、『誰が為に事を成すか』を信念に、次の世代により良い社会を受け渡すことを使命とする。
プライベートでは2012年に前妻と離婚。2013年に妻・百合子と再婚し、翌年に第一子・長女が産まれる。子どもの頃から渇望していた「一家団らん」に向けて、家庭と仕事の両立に挑戦するも、「夫は仕事、妻は家庭」という自身の大黒柱バイアスや、妻との「対話」を大切にしてこなかったことが引き金となり、産後離婚の危機に直面。夫婦の対話の大切さや、男女ともに子育てしながら働きやすい社会づくりへの思いを強める中、妻・百合子と共にLogista株式会社を設立し、夫婦の対話メソッド『夫婦会議®︎』を開発。2021年に第2子・長男が誕生した際には夫婦同時での産休・育休を取得。自身も『夫婦会議®︎』を継続しながら一家団らんを満喫中。
1. 現在のお仕事や活動について教えていただければと思います。
長廣 遥さん:
子育て支援会社として、主に結婚・妊娠・産後・育児期の夫婦の「対話」のサポートを通じた社会課題の解決に努めています。
2015 年に夫婦の対話メソッド『夫婦会議®』を開発し、専用のツールの他、講演・研修などの形で個人・企業・自治体の皆さま向けに提供しています。
仲津:
弊社でも二人講師で研修・講演を行うのは以前にやっていたことがございますが、さらに二人が夫婦というのははじめてのケースです。
長廣 百合子さん:
私たち自身2 児の父・母。夫婦でキャリアを考え、対話することを大切にしてきた結果、家庭運営も会社経営も、本当に何もかも夫婦で一緒に行うようになりました。お互いの強み・弱み をさらけ出し、補い合いながら家事・育児・仕事をしているわけですが、世の中としても「夫婦でキャリアを考える気運」が高まっているように感じます。
長廣 遥さん:
講演や講座については、よくクライアント様から、「男性と女性の両方の目線からのお話を聞けるのがすごくいい。夫婦のリアルな話が参加者に役立つ」と言われます。実際に、私たちの産後の危機や2 人目育児での育休体験談や、ワークの内容が受講者の皆さんにも好評で。感想を拝見する限り、本音が出しやすくなり、次のアクションにも繋がりやすくなっているのだと思います。
長廣 百合子さん:
自然な形で「自己開示」を促すことで「行動変容」が期待できます。ちなみにこれは、夫婦間の協力体制づくりにも通じることなんですよ(笑)
『夫婦会議®』を開発したきっかけを教えていただけますでしょうか?
長廣 百合子さん:
私たち自身が、第一子誕生後に「産後の危機」を迎えたことが一番大きなきっかけになったと思います。
産前産後のタイミングを中心に、仕事と家庭の「両立の危機」や、産後うつ・虐待などの「命の危機」、産後クライシス・離婚などの「家庭崩壊の危機」など、子育て期は夫婦間でさまざまな危機が生じがち。
その根底に、「夫婦でキャリアを考え、対話する機会」が不足しているという問題があることがわかりました。
子どもたちによりよい家庭環境をつくり出していける夫婦であるためにも、もっと夫婦は積極的に話し合う必要があるのです。
長廣 遥さん:
夫婦の問題を解決することは、子育ての問題を解決することにつながると思っています。社会の最小単位は、家庭であり、その家庭を担っている核は夫婦です。子どもたちが最初に触れる社会でもある「家庭」を、夫婦でどう築いていくのか?この問いを「個人の問題」として突き放さずに、まず私たちが一緒に向き合いたいと思っています。
長廣 百合子さん:
起業当初は、こうした考えに共感頂ける「自治体」の方とのお仕事が多かったのですが、ここ数年は「企業」の方からのオーダーも増えました。
背景には、子どもたちが「未来のお客様や社員になる可能性を秘めている」というお考えもあるのかもしれませんが、夫婦間の問題が「自助努力」に委ねられがちだった中、その流れが大きく変わりつつあることを実感しています。
長廣 遥さん:
子育て夫婦に対する支援の輪が広がることは、さまざまな意義があります。DE &I の推進や男性育休支援などはもちろん、この先も企業が存続していくためには「未来を担う人づくり」という観点での社員のサポート強化が不可欠です。
長廣 百合子さん:
働きやすい環境を作ることは、自治体や企業が頑張るだけではだめで、各家庭の中で「努力の方向性」を間違わないようにしないといけません。
夫婦を起点に、働き方も暮らし方も話し合い、一緒にキャリアを作っていく。
まず夫婦間でそういう共同体を作っていけるようになると、子育て期の働きやすさは向上します。
仲津:
『夫婦会議®』のもとになったメモというか、ノートのようなものはあるのでしょうか?
長廣 遥さん:
いいご質問ありがとうございます。実は、離婚の危機に陥る2~3ヶ月前に二人でお互いにノートを作っておりました。
長廣 百合子さん:
お互いに考えていることを整理してアウトプットすることは大事だと思います。何に悩んでいるのか、つまっているのかが書くことでわかるようになると思います。
それが世帯経営ノートの土台になっています。
長廣 遥さん:
当時年間100 万人のご夫婦が誕生する中で、全員が『夫婦会議®』のセミナーや研修を受講することはできない。そして具体的な行動変容に落とし込むまでのプロセスが形になっているものが世帯経営ノートであったりもします。